[最優秀賞]
寺田玲乃|おはなしきかせて
群馬県出身
石沢惠理ゼミ
幼い頃から空想癖があり、お話をつくったり、絵本をつくったりしてみんなに見てもらうのが好きでした。そんな私が今、絵本をつくるとしたらどんなものができるかを模索した結果、布で表現することに辿り着きました。
この作品をみて、おはなしを想像して誰かに聞かせたり、ふれた感触を誰かと共有したり、ひとり妄想して「ププッ」となったり。作品の前で対話がうまれる、自由で和やかな場をつくりたいという願いを込めています。
石沢惠理 講師 評
カラフルでポップなドーナッツ、ビーズでジャラジャラのワニの口。動物たちに触れながら、いろんなお話を想像してしまいます。
作者である寺田さんとの出会いは、2020年のパソコンの画面上でした。コロナ禍で授業はオンラインでスタートするという異例の状況。世界中で人と距離を取ることが強制され、人と関わること、そしてアートが社会に対して何ができるのかゼロから考させられる状況となりました。授業は対面に戻りましたが、学外での活動が制限される中、今できることを考え、試行錯誤する彼女の姿はとても頼もしいものでした。何より彼女の強みは、さまざまな人との出会いを楽しみ、自身のエネルギーに変えていくことでしょう。昨年秋には、天童市美術館での展覧会に出展し、来場者と対話を重ねたことを糧として、この数ヶ月、真っ直ぐ作品と向き合ってきたと思います。コースでの学びを噛み砕き、奮闘しながら、幼い頃から大切にしてきた創造の源を形にした卒業制作だと思います。